チャート式シリーズ 大学教養 線形代数を買ってから、行列の構造、特に「ランク」の理解が深まりました。ということでタイトルの命題の証明です。
AB = E ならば BA = E
AもBもn次正方行列、Eはn次単位行列とします。 ここで、rankA = r ≦ n , rankB = s ≦ n とし、rankE = nです。 まず、基本行列Pを左からAに掛けた結果をPA = X とすると、 rankPA = rankA = r = rankX です。また、rankP = nです。 次に、PA = Xを用い、P(AB) = PE = P および (PA)B = XB を得、総じて XB = P を得ます。 さて、XB = P のランクについて考えると、右辺:rankP = nなので rankXB = nを得ます。 rankXB = n ということは、rankX = nかつrankB = n ということが分かります。 ここで、XはAをPを用いて階段化した行列であり、 なおかつrankX = nよりXは正則であることから、 X = Eを得ます。したがって、XB = P ⇔ EB = P ⇔ B = P です。 以上より、仮定はAB = Eだったので AB = E ⇔ AP = E ⇔ P = A⁻¹ですので、 BA = PA = A⁻¹A = E となります。■