統計学実践ワークブック問14.2より。
問題の概要
- 状態空間S = {1,2,3}
- マルコフ連鎖 X = (Xn)を以下に定める
- Xが状態iにあるとき、カードを1枚ランダムに引く。取り出したカードが
- a_i であれば状態iにとどまる
- a_j であれば
- 確率c_ij = min( j/i, 1 ) で状態jに推移
- 確率 1 - c_ij で iにとどまる
- Xが状態iにあるとき、カードを1枚ランダムに引く。取り出したカードが
- カードは復元抽出とする
- (1)マルコフ連鎖Xの確率推移行列Q を求めよ
問題の理解
どのカードもどーよーにたしからしく引く、つまり1/3の確率で引くことができると考える。 また、各状態で「とどまる」とはつまり、状態iから状態iに推移すると言い換えることができる。
これらの点に注意しながら、以下「状態2」について詳細に計算過程を記述する。 なお、カードは[1][2][3]で表し、状態は①②③で表すとする。また、分数および1と0は確率のことを指している。
- ②のとき
- 1/3で[1]を引き当てる
- 1/2で①へ推移 ⇔ 確率1/6で ②→①と状態推移する
- 1/2で[2]へ推移 ⇔ 確率1/6で ②→②と状態推移する
- 1/3で[2]を引き当てる
- 1で②へ推移 ⇔ 確率1/3で②→②と状態推移する
- 1/3で[3]を引き当てる
- 1で③へ推移 ⇔ 確率1/3で②→③と状態推移する
- 0で②へ推移 ⇔ 確率0で②→②と状態推移する
- 1/3で[1]を引き当てる
これを状態推移ごとにまとめると、
状態推移 | 確率 |
---|---|
②→① | 1/6 |
②→② | 1/6 |
②→② | 1/3 |
②→③ | 1/3 |
②→② | 0 |
となって、図で表現すると
となる。
従って、確率推移行列の第2行の成分は(1/6,1/2,1/3)となる。
同様に考えると、
- 第1行の成分は(1/3,1/3,1/3)
- 第3行の成分は(1/9,2/9,2/3)
となる。