axjack's blog

axjack is said to be an abbreviation for An eXistent JApanese Cool Klutz.

母比率の信頼区間に含まれる2次不等式を解く

母比率の信頼区間

母比率 pの母集団からサイズnの標本を抽出する。このとき標本割合  \hat{p} = x / n について、 \hat{p} は近似的に平均p、分散  pq /n  正規分布 N(p,  pq /n ) に従う。ただし、 q = 1 - p である。したがって、 z = \frac{ 
  \hat{p} - p }  {   \sqrt{pq /n }  }  と標準化した z は 標準正規分布  N(0,1) に従う。

さて、確率 \rm{P}(  -z_0 <   z   \lt  z_0  )  =  1 - \alpha から不等式  -z_0 < z < z_0  を抜き出したものに z = \frac{ 
  \hat{p} - p }  {   \sqrt{pq /n }  }  の右辺を代入すると、p100\alpha/2%信頼区間

 \displaystyle  \hat{p} - z_0 \sqrt{  \frac{pq}{n}  }  \lt  p  \lt  \hat{p} +  z_0 \sqrt{  \frac{pq}{n}  }

と表される。例えば \alpha = 0.10 とすれば、  \hat{p} - 1.64 \sqrt{  \frac{pq}{n}  }  \lt  p  \lt  \hat{p} +  1.64  \sqrt{  \frac{pq}{n}  }   である。通常ここで p は未知であり不等式の左右の \sqrt{ \, \,  } にある pはnが大なるとき \hat{p} の一致性から  \frac{pq}{n}  = \frac{  \hat{p}(1-\hat{p} )  }{n}  と置き換えて、

 \displaystyle  \hat{p} - z_0 \sqrt{  \frac{  \hat{p}(1-\hat{p}  )}{n}  }  \lt  p  \lt  \hat{p} +  z_0 \sqrt{  \frac{\hat{p}(1-\hat{p})  }{n}  }

という公式が用いられる。

2次不等式を解く

それでは、  \frac{pq}{n}  = \frac{  \hat{p}(1-\hat{p} )  }{n}  を用いず
   \hat{p} - z_0 \sqrt{  \frac{pq}{n}  }  \lt  p  \lt  \hat{p} +  z_0 \sqrt{  \frac{pq}{n}  }
 p について解いてみる。以下、式変形。

式変形

   \hat{p} - z_0 \sqrt{  \frac{pq}{n}  }  \lt  p  \lt  \hat{p} +  z_0 \sqrt{  \frac{pq}{n}  }
  \iff     - z_0 \sqrt{  \frac{pq}{n}  }  \lt   p  - \hat{p}    \lt   +  z_0 \sqrt{  \frac{pq}{n}  }
  \iff     | p  - \hat{p} |   \lt    z_0 \sqrt{  \frac{pq}{n}  }
  \iff     | p  - \hat{p} |^2   \lt   \Bigr( z_0 \sqrt{  \frac{pq}{n}  }  \Bigl)^2
  \iff     p^2 - 2p\hat{p} + (\hat{p})^2   - \Bigr( z_0 \sqrt{  \frac{pq}{n}  }  \Bigl)^2    <     0
  \iff     p^2 - 2p\hat{p} + (\hat{p})^2   - (z_0)^2  \frac{pq}{n}      <     0
  \iff     np^2 - 2np\hat{p} + n(\hat{p})^2   - (z_0)^2 pq      <     0
  \iff     np^2 - 2np\hat{p} + n(\hat{p})^2   - (z_0)^2 p(1-p)      <     0
  \iff     np^2 - 2np\hat{p} + n(\hat{p})^2   - (z_0)^2 p  +  (z_0)^2p^2      <     0
  \iff     \Bigl(n + (z_0)^2\Bigr) p^2      +   \Bigl(  -2n\hat{p}  - (z_0)^2  \Bigr)p     + n(\hat{p})^2         <     0
  \iff     p^2      +   \Bigl(  \frac{   -2n\hat{p}  - (z_0)^2   }   { n + (z_0)^2    }  \Bigr)p     + \frac{   n(\hat{p})^2  }{{ n + (z_0)^2    } }         <     0
  \iff     \Bigl(  p   +   \frac{1}{2} (    \frac{-2n\hat{p}-(z_0)^2}{ n + (z_0)^2}  )  \Bigr)^2  -  \Bigl(  \frac{1}{2} (    \frac{-2n\hat{p}-(z_0)^2}{ n + (z_0)^2}  ) \Bigr)^2    + \frac{   n(\hat{p})^2  }{{ n + (z_0)^2    } }         <     0
  \iff     \Bigl(  p   +   \frac{1}{2} (    \frac{-2n\hat{p}-(z_0)^2}{ n + (z_0)^2}  )  \Bigr)^2    <  \frac{1}{4} \Bigl(  \frac{-2n\hat{p}-(z_0)^2}{ n + (z_0)^2} \Bigr)^2  -  \frac{   n(\hat{p})^2  }{{ n + (z_0)^2    } }
  \iff   p   +   \frac{1}{2} \Bigl(    \frac{-2n\hat{p}-(z_0)^2}{ n + (z_0)^2}  \Bigr)   <   \pm  \sqrt{    \frac{1}{4} \Bigl(  \frac{-2n\hat{p}-(z_0)^2}{ n + (z_0)^2} \Bigr)^2  -  \frac{   n(\hat{p})^2  }{{ n + (z_0)^2    } }  }
  \iff   p<  - \frac{1}{2} \Bigl(    \frac{-2n\hat{p}-(z_0)^2}{ n + (z_0)^2}  \Bigr)   \pm  \sqrt{    \frac{1}{4} \Bigl(  \frac{-2n\hat{p}-(z_0)^2}{ n + (z_0)^2} \Bigr)^2  -  \frac{   n(\hat{p})^2  }{{ n + (z_0)^2    } }  }


となる。

具体例で検証

統計学基礎のp.118の例9の数字を使って検証してみる。例9の主要な数字は、

標本サイズ n = 1200
標本比率  \hat{p} = 0.054 にて
母比率 p の95%信頼区間を求める。

である。ここで、 z_0 =  1.96 とする。

公式を用いる

  \hat{p} - z_0 \sqrt{  \frac{  \hat{p}(1-\hat{p})  }{n}  }  \lt  p  \lt  \hat{p} +  z_0 \sqrt{  \frac{  \hat{p}(1-\hat{p})  }{n}  }
なので、  0.054  \pm 1.96 \sqrt{ \frac{0.054(1-0.054)}{1200}  }   =  [0.04121184, 0.06678816 ]
となる。

2次不等式を解いた結果を用いる

    p<  - \frac{1}{2} \Bigl(    \frac{-2n\hat{p}-(z_0)^2}{ n + (z_0)^2}  \Bigr)   \pm  \sqrt{    \frac{1}{4} \Bigl(  \frac{-2n\hat{p}-(z_0)^2}{ n + (z_0)^2} \Bigr)^2  -  \frac{   n(\hat{p})^2  }{{ n + (z_0)^2    } }  }
なので、Rを用いて計算すると

n <- 1200
ph <- 0.054
z0 <- 1.96
A <- (-2*(n*ph) - (z0)^2)/(n+(z0)^2)
B <- (n*ph^2)/(n+z0^2)

c(-(1/2)*A - sqrt( (1/4)*A ^2 - B),-(1/2)*A + sqrt( (1/4)*A ^2 - B))

> c(-(1/2)*A - sqrt( (1/4)*A ^2 - B),-(1/2)*A + sqrt( (1/4)*A ^2 - B))
[1] 0.04257642 0.06827005

より、 [0.04257642,0.06827005 ]
となる。

2次元正規分布の確率密度関数

東京大学出版会『統計学入門』 の p.145 図7.5 2次元正規分布 について、与えられたパラメータから楕円群(等高線の式)を導出する。

パラメータ

\displaystyle \mu = \left[ \begin{array} {c} 55.24   \\  34.97  \end{array} \right] , \displaystyle \Sigma =  \left[ \begin{array} {cc} 210.54 &&  126.99\\126.99 && 119.68   \end{array} \right]

代入

 \det (\Sigma)と\Sigma^{-1}を計算すると、

 \det \Sigma = 9070.9671

 \sqrt{(2\pi)^k \rm det(\Sigma) } = 238.6748277

 \Sigma^{-1} = \left[ \begin{array} {cc} 0.013193742 &&  -0.013999609 \\-0.013999609 && 0.023210314   \end{array} \right]

となるので、確率密度関数に代入するとexpの中身は  \rm x = \left( \begin{array}{c} x \\ y  \end{array}   \right) として

 \displaystyle - \frac{1}{2} \left(  0.013193742(x - 55.24)^2 + 2(-0.013999609)(x-55.24)(y-34.97) + 0.023210134(y-34.97)^2 \right)


となる。ここでexpの中身を適当な定数c と置き、-200倍すると、

 \displaystyle  1.3193742(x - 55.24)^2  -2.7999218(x-55.24)(y-34.97) + 2.3210134(y-34.97)^2

となり、p.145にある楕円群の式とほぼ等しくなる。

AB = E ならば BA = Eをランクを用いて示す

チャート式シリーズ 大学教養 線形代数を買ってから、行列の構造、特に「ランク」の理解が深まりました。ということでタイトルの命題の証明です。

AB = E ならば BA = E

AもBもn次正方行列、Eはn次単位行列とします。
ここで、rankA = r ≦ n , rankB = s ≦ n とし、rankE = nです。

まず、基本行列Pを左からAに掛けた結果をPA = X とすると、
rankPA = rankA = r = rankX です。また、rankP = nです。

次に、PA = Xを用い、P(AB) = PE = P および (PA)B = XB を得、総じて XB = P を得ます。

さて、XB = P のランクについて考えると、右辺:rankP = nなので rankXB = nを得ます。
rankXB = n ということは、rankX = nかつrankB = n ということが分かります。

ここで、XはAをPを用いて階段化した行列であり、
なおかつrankX = nよりXは正則であることから、
X = Eを得ます。したがって、XB = P ⇔ EB = P ⇔ B = P です。

以上より、仮定はAB = Eだったので
AB = E ⇔ AP = E ⇔ P = A‪⁻¹‬ですので、
BA = PA = A‪⁻¹‬A = E となります。■

参考

axjack is said to be an abbreviation for An eXistent JApanese Cool Klutz.