問題
ある世帯の毎年6月に於ける電気料金は、平均4000円、標準偏差500円の独立同一正規分布で近似される。ある年に於いて、6月の電気料金がその前年の6月の電気料金より800円以上高くなる確率は?
考え方
情報整理
- μ = 4000
- σ = 500
- Xi = 任意の年の6月の電気料金を表す確率変数
- E[Xi] = μ
- V[Xi] = σ2
- 今年6月の電気料金:X1
- 前年6月の電気料金:X2
求めるもの
題意を式で書くとP(X1-X2 ≧ 800)
である。
そこで、まずP(X1-X2 ≧ 800)
を計算するために必要な、X1-X2が従う分布のパラメータ(期待値・分散)を求め、最終的に確率を計算する。
計算
X1-X2の期待値・分散を求めると、
E[X1-X2] = E[X1] - E[X2] = μ - μ = 0
V[X1-X2] = V[X1] + V[X2] - 2Cov[X1,X2]
ここで、
Cov[X1,X2] = E[X1X2] - E[X1]E[X2]
であるが、X1とX2は独立なのでE[X1X2]=E[X1]E[X2]
である。ゆえに、Cov[X1,X2] = 0
よって、
V[X1-X2] = V[X1] + V[X2] - 2Cov[X1,X2] = V[X1] + V[X2] - 2×0 = V[X1] + V[X2] - 0 = V[X1] + V[X2] = σ^2+ σ^2 = 2σ^2
結論
計算結果より、X1-X2が従う分布のパラメータ(期待値・分散)は、
- 期待値:0
- 分散:2σ2
となるので、X1-X2はN(0,2σ2)に従うと書ける。
以上を用いて P( X1-X2 ≧ 800 )を計算すると、
P( X1-X2 ≧ 800 ) ここで、 Z = ( (X1-X2)-0 ) / √(2σ^2) と標準化すると = P( Z ≧ ( 800-0 ) / √(2σ^2) ) = P( Z ≧ 800 / (σ√2) ) = P( Z ≧ 800 / (500√2) ) = P( Z ≧ 1.131...) 標準正規分布の上側確率表より = 0.129
よって、ある年に於いて、6月の電気料金がその前年の6月の電気料金より800円以上高くなる確率は0.129である。